人物や円が横に伸びる、または縦に押しつぶされるなら、最初にクロップではなく表示比率を調べます。画面の端そのものが欠けている場合はクロップ、全体は残っているのに形だけがおかしい場合は保存サイズ・表示サイズ・PAR、特定のプレーヤーだけで崩れる場合はそのプレーヤーの表示設定を確認します。
この手順は、自作映像や、所有・許諾済みの読み取り可能なDVD、Blu-rayバックアップ、動画ファイルからアクセス用コピーを作る場合を想定しています。元ファイルは上書きせず、比較用の短い出力を別名で作ってください。
まず症状を三つに分ける
| 見え方 | 最初に確認するもの | 次の手順 |
|---|---|---|
| 顔や文字の端まで切れている | Croppingの上下左右 | 自動クロップの確認手順で切り過ぎを調べる |
| 端は残っているが人物や円が変形する | SourceとOutputの表示比率、PAR | DimensionsとActivity Logを比較する |
| 一つのプレーヤーだけで変形する | Fit、Zoom、Aspect Ratioなど再生側の設定 | 同じ出力を別のプレーヤーでも確認する |
画面を埋めるために幅や高さだけを強制すると、正しい比率を壊すことがあります。表示先と映像の比率が違うなら、黒帯は正常な結果になり得ます。黒帯を消すことと、人物を正しい形で表示することは同じ目標ではありません。
Storage Size、Display Size、PARを混同しない
Storage Sizeはファイルに保存されるピクセルの幅と高さです。Display Sizeは再生時に意図される見た目の幅です。PAR(Pixel Aspect Ratio)は一つのピクセルの横と縦の比率で、1:1なら正方形ピクセルです。
そのため、保存されているピクセルの長方形と、画面に表示される長方形は一致しない場合があります。特にDVD由来の映像では、保存寸法だけを見て「横幅が足りない」「必ず伸ばすべき」と判断できません。DVDリッピング時の画面比率チェックも合わせて、ソースが意図する表示形状を先に確認します。
HandBrakeの現行CLIリファレンスでは、--width と --height は保存寸法、--display-width は再生時の表示幅として別々に説明されています。--pixel-aspect と --display-width はCustom anamorphicで同時には指定できません。これらは仕組みを確認するためのオプション名であり、本稿は実行用の完全コマンドを提示しません。利用できる値はインストール済みバージョンの HandBrakeCLI --help で確認してください。
SourceとActivity Logから出発する
HandBrakeのActivity Logには、Sourceの走査結果、解像度、使用したPreset、エンコード設定、発生した問題が記録されます。変形した出力だけを見て数値を推測せず、次を残します。
- HandBrakeのバージョンとPreset名。
- Sourceで検出された解像度と表示情報。
- Cropping、保存幅・高さ、Display SizeまたはPAR。
- 変形するプレーヤー名と、正常に見えるプレーヤーがあるか。
Source自体の比率情報が誤っている可能性もあります。その場合、HandBrakeの設定を切り替えるだけで自動的に正解が決まるとは限りません。原映像の正しい形を、既知の参照、円や人物、タイトルカードなどから確認してから変更します。
Anamorphicを切れば必ず直るわけではない
現行CLIでは、non-anamorphicはPARを1:1にします。auto anamorphicは保存解像度をできるだけ大きくし、looseはSourceのPARに近づけ、customは表示幅またはPARなどを直接扱います。ただし、設定名だけで原因は判定できません。
方形ピクセルの出力が必要な配信先や編集ソフトでは、1:1のPARを選ぶことがあります。その場合も、正しい表示形状を保つように画像をリサイズする必要があります。PARのメタデータだけを1:1へ変更し、保存ピクセルをそのままにすれば、むしろ形を変える可能性があります。
逆に、PARを解釈できるプレーヤーへ渡すなら、正しい表示情報を保つ方が余計な変換を避けられることもあります。用途を決めてからPresetとDimensionsを選びます。Blu-rayからMP4へ進む判断では、コンテナや再生先も別に整理できます。
短いPreviewで形を検証する
HandBrakeのPreviewは、開始位置と長さを指定して短い区間を変換できます。長時間処理やQueueへ追加する前に、次の順で見ます。
- 人物の顔、車輪、時計など、形の違いに気づきやすい対象を選ぶ。
- SourceとPreviewの同じ場面を並べ、端が欠けていないか、横長・縦長になっていないかを確認する。
- 正しい黒帯を残した状態と、画面を強制的に埋めた状態を混同しない。
プレビュー画面内で形を確かめたら、外部再生用に短い区間を別ファイルへエンコードします。現行CLIの --start-at は開始位置、--stop-at はそこからの長さで、両者は同じ単位にします。これはオプションの説明であり、完成したコマンドではありません。その確認用ファイルを予定する最終プレーヤーと別のプレーヤーで比べてください。
短いPreviewはタイトル全体やすべての機器を保証しません。変形が直った後も、冒頭・中盤・終盤を確認します。フレームレートや音声同期は表示形状とは別の問題なので、必要ならSame as Source、VFR、CFRの選び方へ分けてください。
完成ファイルを受け入れる条件
完成後は、正しい形、全画面の端、黒帯、字幕位置をSourceと比較します。一つのプレーヤーだけで崩れるなら、再エンコードを繰り返す前にそのプレーヤーのZoomやAspect Ratioを確認します。最後にファイル全体の読取りと復元手順をバックアップファイルの検証ガイドへつなげます。
本稿は2026年11月2日にHandBrakeの現行CLI、Preview、Activity Log資料を確認し、draft表記のAnamorphic Guideは保存と表示の概念だけを交差確認して使いました。旧UIや古いコマンドを現在の手順として採用していません。CopyBlurayは実エンコード、物理ディスク、テレビ、各プレーヤーの互換性を測定しておらず、任意のSourceに通用するPARや寸法も提示しません。